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【ニュースリリース】環境配慮型の原料「セルロースナノファイバー(CNF)」活用に関する技術資料を公開

環境配慮型の原料「セルロースナノファイバー(CNF)」活用に関する技術資料を公開
オールバイオマスでポリ乳酸の衝撃強度を向上!​


2023年7月27日

株式会社スギノマシン(富山県滑川市、代表取締役社長:杉野 良暁)は、自然由来のバイオマスを原料としたナノファイバー*1(商品名:BiNFi-s)の用途開発に関する技術資料(テクニカルレポート)を公開しました。技術資料では、セルロースナノファイバー(CNF)と生分解性樹脂であるポリ乳酸の複合化とその効果についてまとめています。

BiNFi-s

​スギマシンが提供するセルロースナノファイバー「BiNFi-s」

1.生分解性樹脂への「セルロースナノファイバー」の活用​

近年、資源循環型社会への転換に向けて、生分解性樹脂の市場拡大への期待が高まっています。生分解性樹脂とは、環境中に放出されても微生物により水と二酸化炭素に分解される樹脂を指します。 

なかでも、でんぷんを多く含む植物(トウモロコシやサトウキビなど)から作られるポリ乳酸(以下、PLA)は代表的なバイオマス由来の生分解性樹脂であり、広く利用されています。このPLAには他の汎用樹脂に比べ耐衝撃性が低い(硬くてもろい)という短所があり、多くはゴム等の可塑剤を加えることで汎用樹脂の物性に近づけています。

しかし、加えられている可塑剤は石油由来であり、生分解性がないため、PLAの特徴を活かしきれていません。このため、自然由来のバイオマス原料としたセルロースナノファイバーで生分解性樹脂の物性を改善できれば、オールバイオマスでの材料設計が可能となります。

 

2.技術資料(テクニカルレポート)の内容(抜粋)

①ポリ乳酸樹脂へのCNF複合化

PLAとBiNFi-sセルロースのドライパウダー(以下、BFDP)をドライブレンドし、溶融混練するだけで、1㎜以上の凝集物なく良好にCNFを分散できます。

 

②BFDPによる耐衝撃性の向上

一般グレードPLAに、BFDPを0.5wt%添加することで、耐衝撃グレードPLAと同程度の衝撃強度を示し、また3wt%添加することで一般グレードPLAの約1.5倍、耐衝撃グレードPLAの約1.3倍まで衝撃強度を向上できます。

 

③BFDP/ポリ乳酸樹脂複合体の引張強度特性

耐衝撃グレードPLAは可塑剤を添加して耐衝撃性を改善しているため、引張強さや弾性率は一般グレードPLAよりも2割程度低下してしまいます。一方、BFDPは添加量0.5wt%~3wt%までは一般グレードPLAの引張強さを低下させることなく、同程度に維持できます。

 

BFDPは、
  低濃度添加でPLAの耐衝撃性を改善しつつ、
  元の引張強さや弾性率を維持できる特徴をもつ強化フィラー

 

3. 技術資料(テクニカルレポート)について

今回の研究結果は、スギノマシンが発行している技術資料(テクニカルレポート)で詳細を報告しています。各種実験データを掲載し、実用化に向けた技術情報を紹介しています。

テクニカルレポートはスギノマシンのWebサイトからダウンロードいただけます。
◆ 詳細はこちら

 

4.用語・補足

*1 ナノファイバー
繊維を直径 100 nm以下、長さ 数µmのサイズへ微細化したもの

 


―本件に関するお問い合わせ先―

■株式会社スギノマシン■

経営企画本部 新規開発部 開発プロジェクトグループ

TEL:(076)477-2572