ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
HOME > 【ニュースリリース】自然由来の乳化剤でUVカットスプレー剤を開発
プリントイメージを表示

【ニュースリリース】自然由来の乳化剤でUVカットスプレー剤を開発

自然由来の乳化剤でUVカットスプレー剤を開発​
―CNF添加で窒素ガスに置き換え、触感改良も―​


2024年1月17日

株式会社スギノマシン(富山県滑川市、代表取締役社長:杉野 良暁)は、東洋エアゾール工業株式会社(東京都品川区、代表取締役社長:杉山 雅人)と共同で、自社のセルロースナノファイバー*1(商品名:BiNFi-s)の添加によるユニークな乳化能と触感を付与した、UVカットスプレー剤を開発しました。
本スプレー剤のサンプル品は、2024年1月17日(水)~19日(金)に東京ビックサイトで開催される第14回化粧品開発展東京の当社ブースで展示します。

セルロースナノファイバーを添加した本スプレー剤の噴霧の様子

​図 セルロースナノファイバーを添加した本スプレー剤の噴霧の様子

1.開発背景

​当社が販売する「BiNFi-s(ビンフィス)」は、バイオマスをナノサイズのファイバー形状に解繊した極細繊維材料で、主にスラリー状態で提供しています。少量添加で優れた乳化能を示すことから、幅広い業種で自然素材由来の乳化剤として利用が進んでいます。化粧品分野では、近年、自然由来の材料への変更・置換ニーズがあり、BiNFi-sの乳化能が注目されています。

また、化粧品への別の添加効果として、乳液、クリームへ添加する際の触感の向上があります。BiNFi-sを添加すると、従来の製品と比較して、「さっぱり」、「すっきり」とした軽快な触感が得られます。これは、従来の増粘剤が肌を面で覆うような触感なのに対し、ナノファイバー形状のBiNFi-sは、肌に線や点で触れるような、ほど良い密着性があるためと考えられます。

これらのユニークな機能を活かすことを目標に、当社は、東洋エアゾール工業と共同で、BiNFi-sを添加したUVカットスプレー剤の開発に取り組みました。その結果、従来の製品よりも化成品由来の乳化剤の使用量を低減でき、さらに噴霧ガスを人や環境への負荷が小さい窒素ガス(N2ガス)に置き換えることができました。

 

2.BiNFi-sを添加したUVカットスプレー剤の特徴

本開発品は、BiNFi-sが持つ乳化・分散安定性を生かし、さらに良好な触感・スプレーパターンを持つ、水中油滴(O/W)型*2のスプレー剤になっています。

 

①水中油滴(O/W)型乳化で処方が可能

紫外線の防護作用のある薬剤は親油性が高いものが多く、油中水滴(W/O)型*3の処方になっていました。一方で、BiNFi-sを乳化剤として併用すると、水中油滴(O/W)型の処方が可能となり、その結果、従来の化成品由来の乳化剤の低減や、W/O型にはない「べた付かない」触感が実現します。

 

②N2ガスで噴霧が可能

一般的なUVカットスプレー剤の噴霧ガスは、LPガスが大半ですが、BiNFi-sを添加したスプレー剤では無害なN2を噴霧ガスに置換できました。そのため、スプレー剤使用時の人や環境への負荷低減が期待できます。

一方で、N2ガスの場合は、使用量に伴い缶内ガス圧が下がりやすい傾向があります。しかし、本スプレー剤では、缶内ガス圧が初期の0.75MPaから0.3MPaまで下がった時でも、噴霧粒子径もスプレー径(範囲)ともに、実用上の大きな差はなく、良好な噴射状態でした。

表

 

3.今後の予定

BiNFi-sの原料であるバイオマス由来の原材料の需要は、サスティナブルの観点から、今後も拡大が見込まれます。今後も、両社でBiNFi-sを添加した本スプレー剤の早期の製品化を進めるとともに、BiNFi-sのもつ乳化、触感改良以外の効果(増粘や粒子の分散安定など)を提案し、化粧品、食品の業界への展開を進めてまいります。

 

4.用語・補足

*1 ナノファイバー

繊維を直径 100 nm以下、長さ 数µmのサイズへ微細化したもの。

*2 水中油滴(O/W)型​

水相中に油滴のコロイドが分散しているものの総称。水中油滴型の例は、牛乳やマヨネーズ。

*3 油中水滴(W/O)型​

油相中に水滴のコロイドが分散しているものの総称。油中水滴型の例は、バターやマーガリン。

 

 


―本件に関するお問い合わせ先―

■株式会社スギノマシン■

経営企画本部 新規開発部 開発プロジェクトグループ

TEL:(076)477-2572