セルロースとは何で、どんなことに使われている?
セルロースは植物の中にある繊維質
セルロースとは、植物細胞壁を構成している天然高分子のことを指します。グルコースが直鎖状に連結しています。
これだとあまりに専門的すぎるので、かみ砕いた書き方をすると、セルロースとは植物の細胞壁の中に含まれる成分です。植物の強度や形状を保つために必要です。
つまり繊維質です。「食物繊維」をご存じかと思いますが、私たちが野菜などから摂取する食物繊維の多くがセルロースなのです。
セルロースを人間が消化することはできません。そのため食物に混ぜて食べると、便秘の改善や腸内環境の改善に役立ちます。
またセルロースは食品添加物として広く使用されていて、安全性が認められています。
植物由来のため、地球上に豊富にあります。
服の原料にもなるセルロース
セルロースは服の原料としても使われています。いわゆる「セルロース系繊維」です。
ファッション関係のサイトに行くと「セルロース系繊維」としてカテゴリが設けられていることがあるほどです。
セルロース系繊維は大きく以下に分けられます。
綿や麻のように綿花や麻の葉から採取したセルロースをそのまま使用している「植物繊維」。
短い繊維状のセルロースを化学処理で溶解させ、長い繊維状のセルロースにして利用する「再生繊維」。
再生繊維の有名どころとして、木材パルプを溶解して再生させるレーヨン、綿の種の周りの毛から作られるキュプラ、木材パルプを化学反応させて作られるアセテートなどがあります。
セルロース系繊維のメリットとデメリット
セルロース系繊維は吸水性や放湿性に優れており、肌触りがなめらかという特徴を持ちます。
ただ水に弱く、洗濯の際に縮みやシワになってしまうため、洗濯表示を確認するなどの注意が必要です。
なお、吸水性と放湿性を活かしたセルローススポンジも販売されており、食器洗いや水回りの掃除の場で効果を発揮しています。
セルロースは植物由来のため、廃棄され埋められると土に還ります。このことから環境にやさしいサステナブルな非石油由来素材としても評価が高まっています。
軽くて強いセルロースナノファイバー
近年、特に注目を集めているのが「セルロースナノファイバー」です。略称をCNFと呼びます。
セルロースをナノサイズに細かくすることで作られるセルロースナノファイバーは、最先端のバイオマスナノ繊維素材です。
植物繊維由来のカーボンニュートラルな素材であり、セルロース結晶鎖の強度は強く、無機材料や金属に比べて軽量であることから樹脂の補強材として期待されています。
この他にも熱変形が小さい、ナノ繊維のため光の散乱が起こりにくいといった特徴も持っています。
セルロースナノファイバーをプラスチックやゴムなどに混ぜることで、強度を向上させながら樹脂の使用量を減らすことができます。環境負荷の低い商品を造るための素材として各所で研究が進められています。
セルロースナノファイバーは資源の少ない日本において、森林資源を生かせる新素材として、世界中で注目されているのです。
まとめ
セルロースと、それを原料とした素材であるセルロースナノファイバーの特徴について記載しました。
セルロースは植物由来で安全性が高くサステナブルな材料。
セルロースナノファイバーはセルロースを解すことで得られる繊維状の物質で、様々な特徴を持つ次世代の材料です。
スギノマシンは2011年から独自のウォータージェット技術を用いたセルロースナノファイバーを「BiNFi-s(ビンフィス)」の商品名で開発・販売しています。
BiNFi-sは繊維径や繊維長、濃度によって特徴やハンドリング性が異なります。そのため、用途や目的に適したナノファイバーを選択できます。BiNFi-sスラリータイプでは、2、5、10wt%の3種類の異なる濃度と、極短繊維から極長繊維までの5種類の異なる繊維長のタイプを取り揃えています。
お客様のご要望や用途に合った商品を選定しますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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