アスベスト除去工事(ウォータージェット工法)
石綿(アスベスト)は,耐火性・断熱性・保温性・防音性など多様な機能を有していることから,
様々な用途に用いられ建築物においては1970~1980年代をピークに使用されてきました。
しかし,人体に深刻な健康被害を与えるという理由から現在は建築物をはじめとし,
アスベストを0.1%以上含有する全ての製品の製造や使用が全面禁止となっています。
また,残存している多くの建築物にはアスベストを含有する塗材が施工されており,
それらは老朽化により建て替えの時期を迎えています。
これらの建築物を解体・改修する際に,アスベストの飛散を防止することが重要課題となっており,
安全で確実な対策が求められています。
その中で,アスベストの大気中への飛散リスクと,作業者のばく露リスクが最も低い工法として
注目を集めているのが,ウォータージェットによる工法(以下,WJ工法)です。
WJ工法では,100~245MPa(約1000~2500気圧)の超高圧水を噴射して,
アスベストを含んだ塗材の除去を行います。
こちらでは,ウォータージェットによるアスベスト除去の有効性とそこで使用する機器について紹介します。
目次
1.ウォータージェット工法の特長
表1は,アスベストを含んだ仕上塗材を除去する工法を一覧にしたものです。
ウォータージェット工法は効率性,安全性の面において多くのメリットがあります。
建築用仕上塗材に含有するアスベストの除去工法
主な工法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
ディスクグラインダーで | 施工が容易である | 乾燥した状態で削り取るため,微細な粉塵が飛散しやすい |
剥離剤(薬剤)を塗材に塗布し, | 湿らせた状態で削り取るため,細かな塗膜が周囲に飛散しない | ・有機系の上塗材(※1)には有効だが,大半が無機系である下地調整材(※2)には効果がない ・凹部に剥離剤と共にアスベストが残留しやすく,完全に除去することは難しい |
超高圧水を噴射し, | ・超高圧水で削り取るためアスベストが飛散しにくい ・上塗材と下地調整材を同時に除去できる ・凹部も施工できる ・水のみを使用するため環境に優しい ・1日あたりの施工能率は,他工法と比較して5~12倍高い | ・設備コストが若干割高である ・超高圧機器を取り扱う |
2.超高圧ポンプとハンドツールのシステム概要図
ウォータージェット工法に必要な設備は,ハンドツールと超高圧水発生ポンプの他,
ツールとポンプをつなぐ超高圧ホースなどの機器で構成されます。
当社は半世紀以上にわたる超高圧水技術のノウハウをもち,ツールからポンプまで一貫して自社開発しています。
3.アスベスト除去のためのハンドツール
アスベストを含んだ塗材を除去する際のハンドツールとして,アクア・セルロータを販売しています。
高速回転するノズルヘッドから超高圧水を噴射し,壁面にブラシを当てながら,
取り除いた塗材をバキュームで回収する構造となっています。
●アクアセルロータ | ●アクア・セルロータによるアスベスト除去のイメージ |
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4.超高圧ポンプHI-JET3000ST、HI-JET3000
アスベストを含有する建築物(学校,公民館,施設)の大半は,
狭く閑静な住宅地や市街地に点在しています。
現場へのスムーズな搬入や狭い場所での作業を可能にするため,
超高圧ポンプはよりコンパクトなものが求められ、作業中の騒音にも配慮する必要があります。
そこで,当社の超高圧ポンプのラインアップの中から,「HI-JET3000ST」と「HI-JET3000」をおすすめいたします。
機械仕様
アクアセルロータ3台まで同時施工可能なスギノポンプHI-JET3000GTはこちら
形式 | HI-JET3000ST | HI-JET3000 | ||
![]() | ![]() | |||
GPHE-S0032ST | GPHE-S4525ST | JPHE-S8030 | JPHE-SS025 | |
最高吐出圧力 | 200MPa | 245MPa | 280Mpa | 300Mpa |
最大吐出流量 | 28L/min | 22L/min | 27L/min | 22L/min |
エンジン出力 | 104kW(連続定格) | 130kW(連続定格) | ||
外観寸法 | 幅2,800×奥行1,600×高さ1,900mm | 幅3,800×奥行1,500×高さ1,750mm | ||
概算質量 | 2,500kg | 3,600kg | ||
特長 | 軽量&コンパクト 1点吊りフックを装備 低騒音&メンテナンス性向上 | 軽量&コンパクト 低騒音 |
5.最後に
ウォータージェットはその衝撃エネルギーにより,効率の良い作業を実現することが可能です。
そのため,アスベストを含んだ建築物の解体・改修工事において,
WJ工法は非常に有効で,今後多くの施工現場において利用されることを見込んでいます。
ウォータージェット機器を使用するあらゆる方々が安心して作業できるよう,
安全性・耐久性・信頼性を兼ね備えた商品開発をさらに進めるとともに,
より使いやすい商品となるよう研究し,改良を進めてまいります。