2026.06.11
最終更新日: 2026.06.11
  • 技術コラム

湿式微粒化装置の活用の場#01 顔料系インクジェットインキの製造

顔料インクアイキャッチ

本記事では、顔料系インクジェットインキの特長と製造方法における課題、そして課題解決のために当社製の湿式微粒化装置 スターバーストがどう活用されているかについて説明します。

インクジェットインキとは

インクジェットとは、ノズルから微細なインク滴を噴射して紙やフィルムなどの対象物に文字や画像を印刷する方式です。家庭用プリンタから産業用印刷機まで幅広く利用されています。

インクジェットインキに使用される着色剤は、主に染料と顔料の2種類に分類されます。

一般的に染料は水などの溶媒に溶けているのに対し、顔料は溶媒に溶けず、微細な粒子として分散した状態で存在しています。

染料インキは鮮やかな発色や高い着色力を得やすい一方で、光や水に対する耐久性に課題があります。これに対して顔料インキは耐光性や耐水性に優れており、屋外で使用される印刷物や長期間の保存が求められる用途に適しています。

このような特徴から、近年ではパッケージ印刷、サイン・ディスプレイ、各種産業用途において顔料系インクジェットインキの需要が高まっています。

顔料系インクジェットインキの製造方法

顔料系インクジェットインキに使用される顔料は非常に微細な粒子ですが、顔料は水に溶けないため、そのままではインキとして使用できません。

この製造工程では、顔料の粒子に外部から力を加え、粒子同士の凝集をほぐしながら液中に均一に散らす処理を行います。これは分散と呼ばれ、顔料系インクジェットインキの品質を左右する重要な工程の一つです。

分散が不十分な場合、発色性の低下や印刷物の色ムラが発生するだけでなく、インクジェットヘッドのノズル詰まりなどの原因にもなります。そのため顔料の粒子を適切な粒子径まで分散し、安定した状態を維持することが求められます。

このように顔料系インクジェットインキの製造では、高度な分散技術と品質管理が必要となるため、一般的に染料系インクジェットインキよりも製造難易度が高いとされています。

顔料を分散させる方法と課題

顔料を液中へ均一に分散させる方法として、従来からビーズミルが広く使用されています。
ビーズミルは微小なビーズと顔料粒子を接触させることで凝集体を解砕し、微細な粒子として分散させます。

一方で、十分な分散状態を得るためには処理時間を要し、条件によっては過度なせん断力の影響を受け、過粉砕による再凝集を引き起こすことがあります。
また、ビーズや装置部材との接触によって微量の摩耗成分が混入する可能性もあり、用途によっては品質管理上の課題となることがあります。

さらに、顔料粒子は一度分散されても、時間の経過とともに再凝集する傾向があります。そのため、分散剤や界面活性剤などを用いて粒子の安定化を図ることが一般的です。
しかし添加剤の種類や配合量によっては、最終製品の物性や性能に影響を与える場合もあるため、適切な処方が求められます。

また、分散工程後に遠心分離やろ過などの工程を設けて不純物や粗大粒子を除去するケースもありますが、工程数の増加は製造時間やコストの増加につながります。

そのため、できるだけ少ない工程で高品質な顔料分散液を製造したいというニーズが高まっています。

スギノマシンの湿式微粒化装置による分散

当社で製造・販売する湿式微粒化装置「スターバースト」では、短時間で効率的な分散処理を行うことが可能です。

本装置は水のレーザとも例えられるウォータージェット技術を応用し、原料同士を高速で衝突させることで粒子を微細化・分散させます。
短時間で高エネルギーを原料へ与えられるため、効率的な処理を実現します。

また、原料は装置内のノズルを通過して処理されますので、処理が行われていない原料が無く、安定した分散、均一な粒径分布の実現に寄与します。

適切に分散された顔料は、インクの発色性の向上や品質の安定化につながることが期待されます。顔料粒子が均一化されることで、分散状態の維持にも有利に働く場合があります。

さらに、ビーズミルのように媒体となるビーズを使用しないため、異物混入リスクの低減が期待できます。
後工程での除去負荷を軽減できる可能性があり、工程の簡素化にも貢献します。

ウォータージェット 微粒化の原理②/湿式微粒化装置『スターバースト』

まとめ

顔料用インクジェットインキは、優れた耐光性や耐久性を持つことから、パッケージ印刷やサイン・ディスプレイをはじめとするさまざまな産業用途で活用されています。

一方で、高品質なインキを製造するためには、顔料粒子を適切に分散させ、安定した状態を維持することが重要となります。

従来のビーズミルによる分散では、処理時間や異物混入リスク、工程数の増加といった課題が生じる場合があります。

当社のスターバーストは、ウォータージェット技術を活用した分散処理により、短時間で効率的な微粒化・分散を実現します。また、異物混入リスクの低減や工程の簡素化にも貢献します。

顔料系インクジェットインキの分散や製造工程の改善をご検討の際は、ぜひ当社までお気軽にお問い合わせください。
用途や処理量に応じた最適な装置をご提案いたします。

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