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【ニュースリリース】EV部品加工に適した大型部品加工機「GIGAFEEDER」を開発


2023年6月20日

​ 株式会社スギノマシン(富山県滑川市、代表取締役社長:杉野 良暁)は、最大6本の主軸(※1)を有する大型部品加工機「GIGAFEEDER(ギガフィーダ)」を開発しました。EV(電気自動車)の部品で使用されている、アルミフレーム部品やバッテリートレイの加工に最適な商品です。

GIGAFEEDER外観

 

1.装置概要

 「GIGAFEEDER」は、当社製のドリリング・タッピングユニット「SELFEEDER(セルフィーダ)」をベースとした主軸を最大6本搭載できる、大型部品加工機です。#30ツールのATC(※2)が可能で、それぞれがXYZの移動軸を保有しています。これ1台で、穴あけやタップ加工だけでなく、カッタやエンドミルを用いたフライス加工まで行うことが可能です。

 また、広い加工エリアが特長で、アルミバンパーやシャシー、バッテリートレイといった大柄なEV部品の切削を、省スペースで行うことができます。生産性の向上と設備投資費の抑制をまとめて実現します。

 

2.開発背景

 近年、世界各国でガソリン車の新車販売を廃止しようとする風潮が強くなっています。自動車メーカー各社は「次世代のクルマづくり」に舵を切っており、その最たるものであるEV(電気自動車)には、ガソリン車並みの航続距離を確保することが求められています。航続距離を伸ばすためには車体の軽量化が必須で、EV部品には、従来のガソリン車にはなかった新たな材質の構成部品が増えてきました。中でも特徴的なのが、メガ(ギガ)キャスティングと呼ばれる大型アルミダイカスト部品です。

 大型アルミダイカスト部品は、寸法的には大柄ですがアルミを使用しているため軽く、見た目に反して軽切削で作られます。部品が大きいことから、大型アルミ部品の加工現場では、次のような課題を抱えています。

・部品サイズに伴って加工設備本体が大きくなり、従来と比較して工場のスペースを占領してしまう
・車体構造部品のため加工精度はそれほど厳しくなく、また軽切削や穴あけ・タップ加工が中心であるが、
 新しい部品であるため、専用の加工設備が少ない。

 

 これらの背景から、EV部品の加工に十分な加工能力を持ちながらも省スペースで、単位面積当たりの生産性が高い商品を目指し、本商品を開発いたしました。

 

3.特 長

​ GIGAFEEDERは次のような特長があり、これからますます増えていくEV向けの大型アルミ部品の加工に最適な機械となっています。

・大型部品を加工できる広い加工エリアを持ちながら、装置本体はコンパクトで省スペース

・アルミ部品の加工に十分な加工能力・精度を持つ、シンプルな構造

・同時加工軸数が多く、圧倒的な生産性を実現

・装置本体がモジュール化されており、搬送装置やインデックステーブルを組み合わせることで、
 ラインレイアウトの自由度が高い。

 

(1)大型EV部品に対応する広い加工エリア

 標準搭載する水平方向の主軸4本は、各軸ともX軸1,850mm、Y軸1,450mm、Z軸350mmのストロークを持ち、大型EV部品の加工に十分なストロークを確保しています。

 X軸・Y軸の送りにはラックアンドピニオン機構(※3)を採用することで、ロングストロークを可能とし、同時に高速搬送・高加減速にも対応しています。

 

(2)横型マシニングセンタと同様の機械構成で、省スペースを実現

 GIGAFEEDERは横型マシニングセンタと同様の機械構成となっており、ワークを縦置きして加工を行います。ワークを横置きして加工する必要がある大型マシニングセンタと比べて、装置本体の設置スペースは圧倒的に小さくなり、ラインの省スペース化を実現します。

 

(3)最大6本の主軸による同時加工で、加工時間を短縮

 装置1台(1モジュール)当たり、最大6本の主軸を搭載できます。それぞれが別々のプログラムで同時に加工を行うため、加工時間を大幅に短縮できます。また、インデックス方式(図1)のように複数のモジュールを組み合わせることで、6本以上の同時加工も可能となります。例えば主軸6本のGIGAFEEDERを3台並べると、18本の主軸による同時加工が実現し、サイクルタイムを圧倒的に短くすることが可能です。

 各主軸はATCマガジンを搭載しており、各11本、最大66本のツールを搭載可能です。ドリル加工、タップ加工、フライス加工など、マシニングセンタ同等のフレキシブルな加工が行えます。

主軸を4本搭載したGIGAFEEDERの装置内部

 

(4)モジュール化で、お客様に最適なラインレイアウトをご提供

 GIGAFEEDERはモジュール構成が可能で、お客様の要求サイクルタイムや搬送システム、工場内のレイアウトに合わせた最適なラインを提供可能です。また、将来生産する部品が変わっても、モジュール単位で組み合わせし直すことが可能で、装置を転用しやすく流動性が高い装置です。

事例

 

4.主な仕様

 
商品名 GIGAFEEDER(ギガフィーダ)
用途 EV関連部品(アルミバンパーやシャシー、バッテリートレイ)の加工
主軸回転速度 Max. 12,000 min-1
主軸本数 最大6本(標準4本<水平方向>+オプション2本<鉛直方向>)
ツール本数 各11本(最大66本)
外観寸法

全長5,350mm ✕ 幅2,780mm × 高さ2,800mm
※クーラントタンクを含まない装置本体の全長:4,100mm

各軸ストローク X軸1,850mm、Y軸1,450mm、Z軸350mm
早送り速度(X,Y,Z軸) X軸60m/min、Y軸40m/min、Z軸48m/min
送り方式 X・Y軸:ラックアンドピニオン、Z軸:ボールねじ
加工能力 ドリル:13キリ、タップ:M8、フライス:φ25カッタ
制御装置 FANUC 30i-MB Plus
販売開始年月 2023年7月 販売開始予定

 ※各軸のスペックは、標準搭載の主軸4本についての仕様です。鉛直方向の仕様については、お問い合わせください。

 

5.用語・補足​

※1 最大6本の主軸

主軸は、標準4本<水平方向>+オプション2本<鉛直方向>の計6本搭載可能です。

※2 ATC(Automatic Tool Changer)

工作機械の主軸に装着されているツールと、ツールマガジンに搭載されている予備の工具を、自動で交換する自動工具交換装置。

※3 ラックアンドピニオン機構

歯車の一種で、回転力を直線の動きに変換するもの。ピニオンとよばれる小口径の円形歯車と、平板状の棒に歯切りを付けたラックを組み合わせたもの。ピニオンに回転力を加えると、ラックが水平方向に動く。

 

6.展示会 出展予定

メカトロテック ジャパン2023

2023年10月に愛知県名古屋市で開催される、国内最大規模の工作機械見本市。当社はGIGAFEEDERの実機を出展予定(本リリース配信時点の予定です。出展予定は変更になる場合がございます)。

■会場:ポートメッセなごや

■開催期間:2023年10月18日(水)~ 10月21日(土)の4日間

■主催:株式会社 ニュースダイジェスト社

■URL:https://mect-japan.com/2023/


―本件に関するお問い合わせ先―

■株式会社スギノマシン■

精密機器事業本部 技術統括部 営業技術部 応用開発課

TEL:(076)475-5112

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