湿式微粒化装置の活用の場#03 導電性ポリマーの分散
本記事では、導電性ポリマーの特長とその分散の必要性、そして課題解決のために当社製の湿式微粒化装置 スターバーストがどう活用されているかを説明します。
導電性ポリマーとは
ポリマー(高分子材料)は、私たちの身の回りで広く利用されています。例えば、プラスチック製品に使用されるポリエチレンや、衣類に使用されるナイロンなどが代表例です。
一般的なポリマーは電気を通しにくい性質を持っています。しかし特定の分子構造を持つ高分子にドーピング処理を施すことで、電気を流せるようになることが発見されました。
この研究成果は導電性樹脂の発展につながり、2000年には白川英樹博士らがノーベル化学賞を受賞しています。
このような電気伝導性を持つ高分子材料は「導電性ポリマー」と呼ばれています。
金属に比べて軽量で加工しやすいという特長を持ち、現在では帯電防止剤、透明電極、固体電解コンデンサ、有機ELデバイスなど幅広い分野で活用されています。
近年では、電子材料やエネルギーデバイス分野の発展に伴い、導電性ポリマーへの注目がさらに高まっています。
導電性ポリマーの製造方法
導電性ポリマーには、ポリチオフェン系、ポリアセチレン系、ポリアニリン系などさまざまな種類があります。その中でも代表的な材料として広く利用されているのが、PEDOT[ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)]とPSS[ポリ(4-スチレンスルホン酸)]から構成されるPEDOT:PSSです。
PEDOT:PSSは、EDOTモノマーをPSS存在下の水性媒体中で酸化重合することにより製造されます。
得られたPEDOT:PSSは、導電性を担うPEDOTをPSSが取り囲むコロイド分散液として存在します。
この構造により水系材料として取り扱いやすい一方で、分散粒子同士が凝集して「ダマ」を形成したり、水分の蒸発によって再溶解しにくい析出物が発生したりする場合があります。
これらは帯電防止剤や透明電極の用途において、均一な塗膜形成や導電性の安定化を妨げる要因となります。
そのため、導電性ポリマーの性能を十分に発揮するためには、製造後の分散状態を適切に管理することが重要となります。
導電性ポリマーの分散の必要性
導電性ポリマーは、製造後の保管や輸送の過程で凝集体や析出物が発生する場合があります。
これらが残存した状態では塗布工程において膜厚のばらつきや欠陥の原因となり、最終製品の性能へ影響を与える可能性があります。
そのため導電性ポリマーを使用する際には、凝集体や析出物を解砕し、均一な分散状態へ調整する工程が重要となります。
特に高品質な塗膜形成が求められる帯電防止剤や透明電極の用途では、分散状態の管理が製品品質を左右する要素の一つとなっています。
また、導電性ポリマーは用途に応じてさまざまな溶媒や添加剤と組み合わせて使用されます。
アルコールなどの有機溶媒を用いる場合には、安全面から防爆仕様の設備が求められるケースもあります。
均一に分散された導電性ポリマーは、安定した塗膜形成や導電特性の維持に貢献します。
さらに、固体電解コンデンサの用途では、誘電体表面への均一な被覆につながり、性能向上に寄与することが期待されています。
高圧湿式微粒化装置の役割
導電性ポリマーの分散では、凝集体や析出物を効率よく解砕しながら、分散液の組成変化を抑えることが重要です。
当社の湿式微粒化装置 スターバーストは、独自のウォータージェット技術を応用した高圧処理装置です。
原料同士を高速で衝突させることで凝集体を解砕し、均一な分散状態の実現をサポートします。
また、原料全体が加圧処理されるインライン方式を採用しているため、外気の接触を抑え、未処理部分が発生しにくく、安定的な分散処理を行いやすいことも特長です。
さらに、噴射圧力やチャンバー構成を調整することで、用途に応じた分散条件の最適化が可能です。
ビーズなどの媒体を使用しない処理方式であるため、媒体摩耗に起因する異物混入リスクの低減にも寄与します。
導電性ポリマーは幅広い用途で使用されており、生産工程では大量処理への対応が求められます。
当社では研究開発向けの小型機から生産機レベルまで幅広いラインアップを取り揃えており、大量生産プロセスへの導入実績もあります。
また、水系材料だけでなく、有機溶媒を使用するプロセスに対応した防爆仕様の機種もご用意しており、実際の生産条件に合わせたご提案が可能です。
まとめ
導電性ポリマーは帯電防止剤や透明電極材料、固体電解コンデンサ材料など幅広い用途で活用されている重要な機能性材料です。
その性能を十分に発揮するためには、凝集体や析出物を適切に分散し、均一な状態を維持することが求められます。
また、使用する溶媒や生産規模によって求められる処理条件は異なるため、用途に応じた分散技術や設備の選定も重要となります。
当社の湿式微粒化装置 スターバーストは、ウォータージェット技術を活用した高圧処理により、導電性ポリマーの均一な分散処理をサポートします。
さらに、防爆仕様や生産機レベルのラインアップも取り揃えており、研究開発から量産まで幅広い用途に対応可能です。
導電性ポリマーの分散や製造プロセスの改善をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。