【導入事例】旋盤でテーパー面のRz3.2安定加工 – Case#04
理論通りにならない旋盤での表面粗さ加工
ある加工現場では、テーパ面の加工を切削加工で要求値Rz6.3に加工していました。
ところが、最終製品の初期摩耗・変形の低減を目的に要求値がRz3.2に変更になりました。
表面粗さの理論値は次の計算式で求められます。

F:ワーク1回転あたりの送り量(mm/rev) R:切削チップのノーズRの寸法 (mm)
一見、理論値に合わせた加工条件で目標の表面粗さは達成できると考えられます。
しかし、実際の生産現場では構成刃先や工具の摩耗により表面粗さは次第に悪化するため、Rz3.2を安定して達成することは困難です。
今回はテーパ面の表面粗さを安定してRz3.2で仕上げるために、スパロールを導入し、課題を解決した事例をご紹介します。
困りごと・目標
困りごと
切削での仕上げが困難なRz3.2の達成
品質が安定する加工方法が必要
加工箇所: 回転部構成部品 テーパー部
加工方法: 検討中 (他候補:研磨手仕上げ)

目標
・面粗度:Rz3.2以下の安定達成
・初期摩耗・変形防止
スパロールでの解決方法
選定機種・駆動機
解決後の加工方法
内面・テーパ形状用のスパロールを使用して、加工を「粗加工」+「寸法仕上げ」+「表面仕上げ(スパロール)」の3つの工程に分けることで、目標値を上回るRz1.6を安定して達成できるようになった。
スパロールで解決できた理由:最適条件での加工による粗さ精度の安定
切削加工では、構成刃先の発生や工具摩耗の影響により、理論どおりにRz3.2を安定して達成することは困難です。
送り速度を落としたり、切削速度を上げたりして、一時的に粗さを改善することは可能ですが、工具寿命の低下や品質のバラつきが発生します。
加工を「粗加工」+「寸法仕上げ」+「表面仕上げ(スパロール)」の3つの工程に分けてそれぞれ最適条件で加工することで、寸法精度と粗さ精度の安定を実現します。
旋盤による仕上げ安定について、詳しくはこちらをご覧ください。
また、振動が加わる使用環境では部品の初期摩耗の発生リスクが高まります。
スパロール加工ではディープローリングによって表層に圧縮残留応力が付与され、振動による初期摩耗を抑制します。
まとめ
スパロール加工により、Rz1.6で安定加工できるようになり、図面指示の面粗度をクリアしました。
また、目的通り初期摩耗・変形が発生しにくいテーパ面を得ることができました。
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