【ニュースリリース】金属積層造形機能を搭載したマシニングセンタの開発に着手
2024年9月11日
株式会社スギノマシン(富山県滑川市、代表取締役社長:杉野 良暁)は、金属積層造形機能を搭載したマシニングセンタの開発に着手します。この装置は大陽日酸株式会社が開発した3DPro® RotoTIG(ロトティグ) 専用トーチを搭載し、金属積層造形と切削加工が1台で行える装置で、2025年度の販売開始を予定しています。
1. 装置概要
本装置は大陽日酸株式会社の3DPro® RotoTIG専用トーチを搭載することで、金属積層造形機能を有するマシニングセンタです。該社の「回転TIG溶接技術」と、スギノマシンの精密部品設計製造技術を融合して製品化を進めております。
マシニングセンタに金属積層造形機能を付加することで、ワイヤアークDED方式※1による金属積層造形機能を、数値制御(NC)による精密な制御のもと行うことができます。また、CAMやシミュレーターとの連携による操作性の向上や、マシニングセンタの付帯設備による安全性の向上といったメリットもあります。NCの知識があれば活用できるため、金属積層造形や溶接の経験がないユーザーでも安心して利用できる装置を目指して開発します。
2. 3DPro® RotoTIG専用トーチの特長
本装置に搭載する3DPro® RotoTIG専用トーチは、ワイヤアークDED方式を採用しており、造形速度が速く、原材料の価格が安いという特長があります。TIG溶接※2の技術を応用していることから、スパッタの発生が少なく、高品質な金属造形が可能です。無欠陥・酸化レスの金属造形を可能としています。
また、一般的なTIG溶接トーチとは異なり、中心軸に溶加材となるワイヤを送給させ、ワイヤの周りを電極が回転する仕様としています。これにより、電極やワイヤの供給方向が制限されるTIGトーチが抱える課題※2を解決し、全方向への積層パスに対応できるため、品質と形状の安定した積層ビードによる積層造形が可能となりました。
トーチ本体には、ロボットやマシニングセンタへの搭載が考慮されたマシンインターフェイスをはじめ、多彩な商品群を有するスギノマシンの設計思想や技術力が応用されています。
3. 開発する装置の特長
・自由度の高い造形を高効率で実現
・金属積層造形とマシニングの工程集約
・リードタイム短縮と省スペース化を実現
3DPro® RotoTIG専用トーチを搭載することで、自由度が高く高品質な造形を実現します。ワイヤアークDED方式による、高速の金属積層造形が可能です。
完成形状に近い素材の造形を行ったあと切削加工で仕上げを行うことで、機械1台でスムーズに全ての加工が完結します。リードタイムの大幅短縮を実現すると同時に、設備の設置スペースが抑えられ、省スペース化にも貢献します。
4. 用語・補足
※1 ワイヤアークDED方式
エネルギー源としてアークプラズマを用い、金属ワイヤを溶融・凝固させ、積層造形を行う3Dプリンティング方式。他の方式と比べて造形速度が速く、材料費も比較的安い。
※2 TIG溶接
TIG=Tungsten Inert Gasの略。タングステン電極を使用し、不活性ガス(=Inert Gas)を使用して溶接部のシールドを行う方法。消耗する溶接ワイヤ―を電極とする他工法と比べて、電極が消耗しない分安定したアーク供給が行えるため、スパッタの発生が少ない。
一方デメリットとして、溶接ワイヤ―を使用しないため溶加材を加える必要があることや、溶加材を加える際に、電極やワイヤの供給方向が制限されることが挙げられる。