【ニュースリリース】「地上に太陽を」国際熱核融合実験炉ITER 遠隔保守ツールの開発に協力
ー11月4日に代表取締役副社長杉野岳がITER機構を訪問、意見交換を実施ー
2024年11月29日
株式会社スギノマシン(富山県滑川市)は、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(以下、QST)を通じ、フランスに建設中の核融合実験炉ITER(イーター)プロジェクトに参画しています。スギノマシンは、これまで培ってきた配管切断や拡管、耐放射線性遠隔装置などの技術を応用し、ITERの遠隔保守技術や遠隔保守ツールの開発に協力しています。
2024年11月4日には、スギノマシンから代表取締役副社長杉野岳をはじめとする4名がITER機構を訪問し、建設中のITER見学のほか、今後のITERプロジェクトについて意見交換を行いました。
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ITER機構の鎌田副機構長(左)とスギノマシン杉野副社長(右)

核融合炉中心部の建設現場
1. ITERプロジェクト
ITERプロジェクトとは、世界7極(日本、EU、米国、中国、韓国、インド、ロシア)が参加する、核融合開発の国際的プロジェクトで、史上最大の核融合実験炉ITERは、南フランスのサン・ポール・レ・デュランスに建設中です。ITERの運転保守に必要な遠隔保守機器は日本が担当しており、日本国内の研究機関であるQSTが取りまとめています。

出典:内閣府ホームページ (https://www8.cao.go.jp/cstp/fusion/6kai/siryo1.pdf)
2. ITER遠隔保守ツールの開発
スギノマシンではこれまで90年近くの社歴の中で、熱交換器やボイラーなどの製造・メンテナンスのためのチューブ・エキスパンダやチューブカッタなどのツールを製作してきました。この配管切断や拡管、耐放射線性遠隔装置などの技術を応用し、ITERの遠隔保守ツールの開発を進めています。

ITERに設置されているスギノマシンのプラーク (写真提供:QST)
【一般仕様のスギノマシンツール】
■拡管工具「チューブ・エキスパンダ」
熱交換器の製造工程において、チューブを管板に固着するためのローリング式拡管工具です。
■管切断用工具「チューブカッタ」
熱交換器のメンテナンス作業で、老朽化したチューブを切断する工具です。スギノマシン独自開発のカム機構を採用し、カッタホイールをチューブ内面に押し付けながら速やかに切断します。
【ITER向け開発ツール】
ITERでは核融合反応に伴って、高い熱負荷や放射線が発生するため、遠隔で炉壁を交換保守する必要があります。スギノマシンは、核融合実験炉の内側に取り付けられている炉壁(第一壁)に接続している冷却配管を切断し、新しい第一壁を設置後、冷却配管を接続するツールや固定ボルトの締結ツールの開発に協力しています。

配管開先合わせツール

冷却配管切断ツール
3. ITER機構への訪問
2024年11月4日に、スギノマシン代表取締役副社長杉野岳を代表とする4名がフランスのITER機構を訪問し、今後のITERプロジェクトの展望について、ITER機構の鎌田裕副機構長と意見交換を行いました。また、現在建設中のITERの施設見学を行い、保守対象である炉壁や核融合炉を確認しました。
鎌田副機構長からは、「原子力発電は米国からの技術をベースとしているが、核融合は遠隔保守を含めた重要技術を日本が担っている。日本がリードして核融合をさらに推進していきたい。」との話がありました。
杉野副社長はITER機構訪問して、「30年後50年後100年後の人類を支える壮大な技術開発に携わることに、強い使命感と誇りを感じる。「富山発、世界へ、未来へ」の気概を持ち、技術力を武器に、この壮大なプロジェクトに貢献していきたい。」と決意を新たにしました。

核融合炉中心設備の組立エリア

保守対象の炉壁の説明を受ける杉野副社長
4. 今後の展望
現在日本では、ITERプロジェクトと並行して、2030年代の核融合発電実証に向けて開発が進められています。スギノマシンは、引き続き遠隔保守ツール以外の開発も含めて、核融合の実現に貢献していきます。