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セルロースナノファイバー(CNF)の熱分解特性

電子部品、医療用材料、構造部材などに使用されている「セラミックス」は、粉末原料を粘土状に成形した後に焼き固めて作製します。成形前の原料には「バインダー」と呼ばれる接着剤の混合が不可欠ですが、焼成の過程でバインダーが焼失する際に、有害ガスが発生するため、環境への影響が懸念されています。そこで、バインダーの一部を、植物由来のセルロースナノファイバー(CNF)に置き換えることで、セラミックス製造時のバインダー使用量を抑え、環境負荷の低減が期待されます。

以下では、スギノマシンが提供するCNF「BiNFi-s(BF)」の熱分解特性として、熱重量測定(TG)と示差熱分析(DTA)の測定結果をご紹介します。セラミックスをはじめとする粉末成形体用のバインダーとして、CNFを検討される際にご活用下さい。

BiNFi-sの熱分解特性(熱重量変化)

測定に用いたBFスラリーの種類(型式)、重合度 および 比表面積は次の通りで、最⼤温度を600℃、昇温温度を10℃/minとしました。

 
種類 重合度 比表面積(g/㎡)
①BiNFi-sセルロース(BMa) 750 120
②BiNFi-sセルロース(FMa) 200 150
③BiNFi-sキチン(SFo) 300 200

 

最初に、①~③の3種類の熱重量測定(TG)を空気雰囲気下と窒素雰囲気下で⾏った結果を、それぞれ図1、2に⽰します。

熱重量変化グラフ

図1、2より、いずれのBFでも200℃までに3〜5%程度の重量減少が確認できます。これは、BFの表⾯吸着⽔が蒸発した重量変化と考えられます。この温度域で③BFキチンの重量変化が⼤きくなっているのは、③BFキチンの⽐表⾯積が①②のBFセルロースよりも⼤きく、③BFキチンの表⾯に吸着可能な⽔分が多いためです。
さらに昇温を継続すると、③BFキチンは約200℃から、①②のBFセルロースは約280℃から急激に重量が減少し始めます。また、空気雰囲気下では、③BFキチンは600℃以上でも減少が続くのに対し、①②BFセルロースは500℃以上で変化がなくなっています。特に重合度が⾼い①BMaは、重合度の低い②FMaよりも、低温域で重量変化が始まっています。​

※本実験は富山県新世紀産業機構の推進事業で、富山県産業技術研究開発センターと共同で実施したものです。

BiNFi-sの熱分解特性(示差熱分析)

示差熱分析のデータについては、テクニカルレポートNo.17「BiNFi-sの熱分解特性」で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

> テクニカルレポート一覧はこちら

まとめ

  • 0℃~200℃の温度域では、BFキチンはBFセルロースよりも比表面積が大きく、表面に吸着可能な水分が多いため、重量変化が大きくなる。
  • 200℃以上の温度になるとBFキチンは急激に重量が減少する。
  • 280℃以上の温度になるとBFセルロースも急激に重量が減少する。
  • 500℃以上の温度になるとBFセルロースの重量に変化がなくなる。​
  • 600℃以上の温度でもBFキチンの重量は減少が続く。

技術情報

さらに詳しく解説!テクニカルレポートはこちら

セルロースナノファイバーやシルクナノファイバーの応用例や研究データをまとめたテクニカルレポートをご紹介しています。素材開発や研究にお役立てください。
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