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【ニュースリリース】「表面繊維化セルロース粒子」を新たに開発

 

「表面繊維化セルロース粒子」を新たに開発
混合油を一斉に乳化 / オイルリッチ・低粘度の乳化剤として


2022年5月10日

株式会社スギノマシン(富山県魚津市、代表取締役社長:杉野 良暁)は、自然由来のセルロースを原料としたナノファイバー(*1)(商品名:BiNFi-s)の開発を進めています。セルロースナノファイバー(CNF)の製造技術を応用して、シングルマイクロサイズの「表面繊維化セルロース粒子」を新規に開発しました。本開発品は5月11日より開催の「セラミックス ジャパン」(*2)に出品します。

1.表面繊維化セルロース粒子とは

本開発品は表面が繊維化された直径7μm程度のセルロース粒子で、水分散体として提供します。表面が繊維化されていることで、その比表面積は70m2/gと、市販のセルロース粉末や結晶セルロースの約20倍にもなり、各種溶媒への分散安定性が向上します。また、複数混合油の一斉乳化や充填結合剤としての利用など、CNFとは異なる用途展開が期待されます。

図1、2、3

濃度25wt%の水分散体の外観は白色のペースト状であり(図1)、これを乾燥化して観察すると粒子表面に繊維状構造が確認できます(図2、および図3)。また、粒子であるため分散液の粘度が低くハンドリング性が良好で、200rpmの簡易なプロペラ撹拌で5~10分間混合することで、均一分散が可能です。

2.特殊乳化剤としての活用

乳化とは水と油のように本来は混ざり合わないもの同士が、どちらか一方に分散し、均一に安定化した状態です。一般的に安定した乳化物を得るにはHLB方式(*3)による界面活性剤(乳化剤)の選定が重要です。また、油相は多数の油性成分により構成されていることが多いため、各物質の相溶性を見ながら、段階的な乳化が必要になります。一方、表面繊維化セルロース粒子では油種に影響を受けないため、HLBに関係なく複数油種が混合された状態でも単純な撹拌混合で一斉に乳化できます。また、配合量や組成を変えることで、オイルリッチでありながら低粘度の乳化物を作製することができます。

 

①異なる油を一斉に乳化、大幅な工程削減が可能

一般的な乳化では、界面活性剤の作用が異なるため、油種ごとに界面活性剤の選定が必要です。一方、本開発品は油種に関係なく強い乳化作用を持ちます。異なる5種の油(表1)を等量ずつ配合した​混合油を準備し、水:混合油=1:1の割合で、終濃度が3wt%になるように本開発品を添加し、ミキサーで撹拌混合しました。1日静置後の乳化状態を図4に示します。界面活性剤では分離が見られるのに対して、本開発品では1か月以上、乳化状態を維持しています。

表1、図4

オイルリッチでありながら低粘度の乳化物

水と油の割合が変わっても、表面繊維化セルロース粒子の添加濃度を調整することで、安定な乳化を実現します。また、油70%のオイルリッチな状態でも粘度が低く流動性のある乳化物が得られます。

耐熱、耐塩性の高い乳化物

高温環境下、高温-低温の繰り返し、および高塩濃度(0.1~5wt%)の条件でも、表面繊維化セルロース粒子で調整した乳化物は分離を起こさず安定であり、製造工程で発生する温度やイオンの影響を受けにくいです。

3.想定される用途

​シリコーンエマルジョン、スクラブ代替、化粧品、エマルジョン製剤、エマルジョン燃料、塗料、接着剤、農薬等​

4.用語・補足

*1 ナノファイバー

直径が100 nm以下、長さが直径の100倍以上の繊維状物質

*2 セラミックスジャパン

【会期】2022年5月11日(水)~5月13日(金)

【開催地】インテックス大阪

【URL】https://www.ceramics-japan.jp/ja-jp.html

*3 HLB(hydrophile-lipophile balance)

乳化剤の親水-疎水のバランス指標。乳化物の作製時には被乳化油性成分の所要HLBの値に合わせて乳化剤を選定する。

 


―本件に関するお問い合わせ先―

■株式会社スギノマシン■

経営企画本部 新規開発部 開発プロジェクトグループ

TEL:(076)477-2572