若手もゲーム感覚で溶接工程に挑戦! ―「デジタル板金」トップランナーの現場担当者が語る効果― 【ロボットシミュレータ「CROROROS」/フジムラ製作所】

お客さま情報
株式会社フジムラ製作所(埼玉県川口市)
社員数:約130人
事業内容:各種精密板金加工、レーザー加工、各種溶接など
会社HP:https://www.fujimurass.com/
概要
フジムラ製作所様は埼玉県川口市に6つの工場を構え、精密板金加工や溶接などを手がけています。
「デジタル板金」をコンセプトに掲げ、見積りから出荷までのすべての生産工程の見える化と加工技術・情報のデジタル化を進めてきました。
板金溶接業界でなり手不足が課題となる中、フジムラ製作所様は、自動化が難しいとされる溶接工程にもデジタル技術を取り入れています。
2024年12月にはスギノマシンのファイバーレーザー溶接ロボットとロボットシミュレーションソフト「CROROROS(クロロロス)」を新たに導入しました。
「作業者によって差が出る溶接の質や作業時間のばらつきをなくし、品質の安定化を図りたい」
「簡単な溶接はロボットに任せ、職人は付加価値の高い仕事に集中できるようにしたい」
導入の背景には、こうした狙いがあったといいます。
既に量産品やリピート製品でCROROROSを使っており、10種類ほどのワーク用にプログラムを作成し、ロボットで自動溶接しています。
溶接経験の浅い若手でもCROROROSを使って溶接ができることや、リピート製品で作業時間の短縮につながったことなど、導入による手応えを感じているといいます。
今後は、受注の8割以上を占める多品種小ロットの溶接にCROROROSを活用することを目指しています。
製造統括部・溶接研磨グループの大澤俊哉係長に詳しいお話を伺いました。
この記事をまとめると…
【導入背景・課題】
・溶接作業者のなり手不足への対応
・簡単な溶接作業に熟練の職人の時間が取られる。より高難易度の作業に人の時間を充てたい
・品質の安定化、平準化
【導入後の手応え】
・操作がシンプルでプログラム作成が簡単
・ロボット実機でのティーチングが不要で、ロボットとワークの衝突を回避できる
・作成したプログラムをロボットが正確に再現
【効果・今後の展望】
・溶接の経験がなくても溶接が可能に。若手社員も挑戦しやすい
・1回のプログラム作成で繰り返しの溶接が可能に。リピート製品の作業時間短縮を実現
・職人が付加価値の高い作業に充てられる時間が増えた
インタビュー動画
◆課題・導入背景◆
「単純作業をロボットに任せ、
より難易度の高い仕事を人の手で」
――まずは導入の背景について教えてください。
大澤俊哉さん:溶接工程の自動化に向け、CROROROSを含むスギノマシンのファイバーレーザー溶接ロボットシステムを導入しました。
2024年11月に試行的に稼働を始め、操作トレーニングを受けてから同12月に本格的に使い始めました。
現在は定期的に受注のあるリピートの量産品にCROROROSを活用しています。
ワークの数でいうと計10個で、医療機器や自動車整備などの取引先に納品する製品です。
CROROROSの導入に至った背景には、慢性的な溶接作業者のなり手不足があります。
それから、当社では他に2つの狙いがありました。
溶接は人の手でする作業なので、どうしても技術の差で品質や作業時間にばらつきが出ます。そこで1つ目に、溶接の品質の安定化と平準化を図りたいという狙いがありました。
2つ目の狙いは、単純作業などの簡単な溶接はロボットに任せ、より技術力が求められる難易度の高い作業に人の時間を割ける仕組みをつくることです。
溶接作業は専門知識や技術が求められ、技術の習得に時間がかかります。
人材確保が難しくなる中、生産性を高め、職人は付加価値の高い仕事に集中できる環境をつくりたいと考えています。


◆導入後の手応え◆
操作が簡単でティーチング不要
立ち上げ作業を全てカバー
――CROROROSを使ってみて、率直な感想はいかがでしょうか?
大澤さん:操作が簡単でプログラムをしやすいです。
機能が多く、できることがたくさんあります。
作成したプログラムは、ロボット実機で正確に再現されます。
スギノマシンのサポート体制もしっかりしていて、導入後の対面のトレーニングに加え、その後もメールや電話できめ細かくフォローしてもらっています。
特に良かったことは、ロボット実機でのティーチングが不要なところです。CROROROSで溶接箇所を設定するだけでロボットを動かすことができるので助かります。
干渉チェックのシミュレーションもできるので、ロボットとワークの衝突もありません。
ロボットの異常や故障、不意な停止を回避することができます。


◆効果・今後の展望◆
若手もゲーム感覚で挑戦
量産品で作業時間短縮
多品種小ロットへの活用に期待
――CROROROSの導入後、どのような効果を感じていらっしゃいますか?
大澤さん:若手社員にもCROROROSの操作を教えています。溶接の経験がなくてもCROROROSを使って溶接工程を実践することができています。
ゲーム感覚で操作できるので、パソコンを使い慣れている若手のほうが抵抗なく扱えるようです。
先ほどお話しした通り、CROROROSは導入したばかりなので、今はリピートの量産品で使っている段階です。
CROROROSで1回プログラムを作成してしまえば、その後何度も同じプログラムを使うことができるため、作業時間の短縮につながっています。
――今後の展望や目標を教えてください。
大澤さん:当社では多品種小ロットの生産が8割以上を占めています。
今後は少量生産の製品、難易度の高い作業でのCROROROSの活用を進めていきたいです。
私たちはCROROROSを含めた溶接ロボットシステムが使いやすい製品になるよう、溶接者の立場からスギノマシンに意見を伝え、開発段階から協力してきました。
今も溶接の条件をさらに細かく設定できるよう改善が重ねられています。
当社は新しいデジタル技術をどんどん取り入れ、これまで多くの成果を挙げてきました。
CROROROSを用いた事例も積み上げていき、より使いやすい製品になるよう協力していきたいです。