2026.10.07
最終更新日: 2026.10.07
  • 技術コラム

湿式微粒化装置の活用の場#05 チタン酸バリウムの分散

チタン酸バリウムアイキャッチ

本記事では、MLCCを作る際に必要となるチタン酸バリウムと、その分散の必要性、そこに当社製の湿式微粒化装置 スターバーストがどう活用されているかを説明します。

コンデンサ用セラミックスとは

最近では、スマートフォンなどに数多く搭載されている積層セラミックコンデンサ(以下、MLCC)の需要が高まっています。

MLCCは、スマートフォンなどの通信機器だけでなく、AI関連のインフラ設備、産業用電子機器、電気自動車に搭載される電子システムなど、幅広い分野で使用されています。
こうした用途の拡大を背景に、大手メーカーからの受注に対応するため、増産体制を整える企業も増えています。

MLCCは、外部電極の間に、内部電極と誘電体層を交互に何層も積み重ねた構造をしています。特に高誘電率系のMLCCでは、誘電体材料としてチタン酸バリウム(BaTiO₃)を基材としたセラミックスが使用されています。

チタン酸バリウムは非常に高い誘電率を持つ強誘電体であり、コンデンサの大容量化に適した材料です。そのため、MLCCの小型化・大容量化を支える重要な材料の一つとなっています。

MLCCの製造方法

MLCCは、誘電体を薄いシート状に成形し、そのシートに内部電極を印刷したものを何層も積み重ねて製造されます。
誘電体層、内部電極、誘電体層、内部電極……という構造を多数積み重ねることで、コンデンサとしての容量を確保しています。

前述のチタン酸バリウムは、これを主成分とするセラミック材料から誘電体層を形成するために使用されます。

おおまかな製造工程としては、まずチタン酸バリウムをバインダーや溶剤などと混合してスラリーを作ります。
このスラリー中のチタン酸バリウムを均一に分散させた後、薄くシート状にすることで、誘電体のグリーンシート(生シート)を形成します。

次に、グリーンシートの表面に内部電極のパターンを印刷し、電極を形成したシートを何層も積み重ねます。その後、プレスによる圧着、所定の大きさへの切断、焼成によるセラミックス化などの工程を経て、MLCCの素体ができます。
最後に外部電極を形成して焼き付け、めっき加工などを行うことで、MLCCが完成します。

チタン酸バリウムの分散の必要性

誘電体のグリーンシートを形成するうえで重要なのが、スラリー中におけるチタン酸バリウムの均一な分散です。

では、チタン酸バリウムが均一に分散されていないと、どのような問題があるでしょうか。
チタン酸バリウムの微粒子がスラリー中で凝集していると、グリーンシートを形成した際に粒子が局所的に集まった部分や少ない部分が生じます。これにより、誘電体層の均一性が損なわれます。

MLCCの誘電体層には、内部電極間を絶縁するとともに、電気エネルギーを蓄えるという重要な役割があります。そのため、誘電体層を均一に形成することは、MLCCの電気特性や信頼性を確保するうえで重要です。

また、ドクターブレードによりシートの厚みを調整する際にも、チタン酸バリウムが均一に分散されず凝集したダマがあると、グリーンシートの厚みが局所的に不均一になります。

不均一とならないようにグリーンシートを厚くすると、製品の中に積層できるシートの枚数が少なくなり、MLCCの容量の低下を引き起こします。
不均一のまま薄くすると、誘電体層がない部分が生じて短絡し、同様に容量の低下を引き起こします。

このように、チタン酸バリウムを均一に分散させることは、良質なグリーンシートを形成し、MLCCの品質を確保するための重要な工程の一つです。

チタン酸バリウムの分散方法

チタン酸バリウムの分散方法としては、ビーズミルやボールミルなどの粉砕・分散機が使用されています。また、高速攪拌などの方法が用いられる場合もあります。

これらの方法によってチタン酸バリウムを処理する際には、粒子の凝集を解きほぐし、スラリー中に均一に分散させることが重要です。

分散が不十分な場合、凝集した粒子が残ったままグリーンシートが形成され、その後の焼成工程においても粒子の凝集状態が影響する可能性があります。
MLCCでは誘電体層の薄層化が進んでいるため、セラミック粒子を微細かつ均一な状態に保つことが、容量と品質を確保するうえで大切です。

一方で、ビーズミルなどによる処理では、十分な分散状態を得るために処理時間を長くする必要がありますが、生産性の向上を目的として、より短時間で均一な分散を実現することが求められる場合があります。

スギノマシンの高圧湿式微粒化装置の役割

当社で製造・販売している高圧湿式微粒化装置 スターバーストを用いることで、チタン酸バリウムをバインダーなどと混合し、より短時間で均一に分散させることができます。これにより、良質なグリーンシートの形成をサポートします。

このスターバーストは、独自のウォータージェット技術を応用した高圧処理装置です。原料を高速で処理することで、凝集体を解砕し、均一な分散状態の実現に役立ちます。

原料全体が加圧処理されるインライン方式を採用しているため、外気の接触を抑え、未処理部分が発生せず、安定的な分散処理を行いやすいことも特長です。
また、噴射圧力やチャンバー構成を調整することで、用途に応じた分散条件の最適化が可能です。

ビーズなどの粉砕媒体を使用しない処理方式であるため、媒体の摩耗などによるコンタミネーションのリスクを低減できることも特長の一つです。

研究開発向けの小型機から生産機レベルまでの幅広いラインアップを取り揃えており、大量生産プロセスへの導入実績もあります。実際の生産条件に合わせたご提案が可能です。

まとめ

MLCCは、通信機器やAI関連のインフラ、産業用電子機器、電気自動車など、さまざまな分野で需要が高まっています。
MLCCの品質を確保するためには、原料となるチタン酸バリウムを均一に分散させることが重要です。

当社の湿式微粒化装置 スターバーストは、ウォータージェット技術を活用した高圧処理により、チタン酸バリウムの均一な分散処理をサポートします。
短時間での処理や、ビーズなどの粉砕媒体を使用しない処理方式も特長の一つです。

防爆仕様や生産機レベルのラインアップも取り揃えており、研究開発から量産まで幅広い用途に対応可能です。

チタン酸バリウムの分散や製造プロセスの改善をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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