溶接未経験でもワークを置いて、ボタンを押すだけ! ティーチングレス&自動経路補正で正確に溶接 【株式会社ロング様|ファイバーレーザー溶接ロボットシステム】
お客さま情報
株式会社ロング(石川県金沢市)
社員数:48名
事業内容:板金製品の製造
会社HP:https://www.long-kanazawa.com/
概要
「溶接未経験でもワークを置いてスタートボタンを押すだけ!
ティーチングレス&自動経路補正で正確に溶接/品質安定化と生産性向上に貢献」
板金製品の製造を行う株式会社ロング様は、主に機械カバーを生産しています。
最新の機械設備を用い、多品種少量生産を強みとしています。
ロング様がファイバーレーザー溶接ロボットシステムを導入したのは、2026年1月。製造業界では新規採用難や熟練技術者のリタイアなどでの人手不足などが慢性化。ロング様では、そうした課題を打開しようと、作業者の経験や集中力に左右されず、高い精度で品質を安定化させられるロボットの導入を検討していました。そうした中でスギノマシンのファイバーレーザー溶接ロボットシステムと出会ったといいます。
導入の決め手や、導入後の効果や使い勝手について、長井勉社長と現場でファイバーレーザー溶接ロボットシステムを担当する松本智司さんにお話を伺いました。
この記事をまとめると…
【導入背景・課題】
・製造業界では新規採用難や熟練技術者のリタイアなどでの人手不足などが深刻な課題となる一方、顧客のニーズが多様化
・ハンディ―タイプの手軽なレーザー溶接機も導入したが、細いレーザービームを溶接する部分に正確に当てなければならず、習熟度や集中力、体力が求められ、作業者の負担が大きい
・自動化や省人化に向け、設備投資を進めていた
【導入の決め手】
・ロボットシミュレーションソフト「CROROROS」を用いることで、3D CADデータからオフラインで溶接プログラムを作成できる
・ワークの形状・姿勢に合わせ、CROROROSで治具データを自動生成できる
・最新のセンシング技術「アクティブトラッキング」により、溶接加工中にリアルタイムで溶接経路を自動補正。
誤差や歪みを伴うワークでも、安定した溶接品質を実現できる
【導入後の手応え・効果】
・溶接未経験でも、ワークを置いて、装置のスタートボタンを押すだけで簡単に溶接作業ができる
・オフラインでプログラムを作成できるため、ロボット操作ペンダントでティーチング作業が不要
・手作業のTIG溶接と比べて、ロボットで半分の時間で溶接できる事例もある
→ 生産性向上に向けて、活用を加速
・定期的な個別レクチャーの実施など、万全なサポート体制で安心して使える
【今後の展望】
・経験に左右されず、より多くの社員が安心して溶接作業に携われるようにしたい
・最新技術をいち早く取り入れ、お客様の要望に応え続けていきたい
・スギノマシンには、悪条件下で作業できるロボットの開発など、ロボット技術に期待
動画
◆会社紹介◆
板金加工で機械のカバーなどを多品種少量生産
――まずは会社の概要について教えてください。
長井勉社長(以下、長井社長):当社は主に機械のカバーを生産しています。取引先は工作機械、半導体製造装置、食品機械のメーカーなど、多岐に渡っています。多品種少量生産や精密加工を強みとしていますが、同時に量産もできるよう、設備投資は積極的に行っています。
最近は、外国出身者や女性も現場で活躍しています。


――製造業界では人手不足や熟練技術者の不足などが深刻化する一方、顧客のニーズが多様化しています。そうした中、ロング様では生産性向上に向けて、自動化技術の導入も進めているそうですね。
長井社長:多品種少量生産では自動化は難しい面もありますが、メインの抜きの機械であるレーザー複合機については夜間も含めた24時間運転できる機械を導入しています。それ以降の他の工程は、やはり手作業が多く、自動化、ロボット化のハードルが高いのが現状です。
ただ、技術革新が進む昨今、今のうちから新しい技術にチャレンジしていきたいという思いも持っています。
――現在の溶接工程の体制について教えてください。
長井社長:回導入したスギノマシンのファイバーレーザー溶接ロボットシステムのほか、手作業でのTIG溶接やハンディレーザー溶接があります。
溶接工程は特に経験と習熟が必要ですが、最近はハンディーのファイバーレーザー溶接機でかなり安価なものが出てきて、導入しやすくなってきました。当社でも、数年前から導入していますが、非常に使いやすい反面、ビーム径0.2mmという細いレーザービームを溶接先に当てなければいけない。これにはそれなりの習熟はいるし、神経もかなり使わなければいけない。そういったことを考えると、品質の安定化や業務効率をアップさせるには、ロボット化すると一番良い分野だと、以前から思ってきました。


◆導入背景◆
品質安定化や生産性アップに向け、ロボット導入を検討
――導入までの経緯についてお聞きします。溶接工程にロボットを導入しようと検討していた中で、スギノマシンのファイバーレーザー溶接ロボットシステムと出合ったそうですね。
長井社長:はい。スギノマシンのファイバーレーザー溶接ロボットシステムは、最新のセンシング技術で溶接先をセンサーで確実に狙うところが大変気に入りました。
3次元CADデータを用いて簡単にプログラムを作成し、ロボットにプログラムデータを転送して直ぐに加工できるのも良い点です。
――作業者の負担が軽減できることや、熟練作業者への属人化にも注目されたそうですね。
長井社長:溶接作業は作業者の技量に頼る部分がかなり大きいですが、ロボットを導入することで属人化を食い止めることができます。すると、作業者を問わず一定の品質が保つことができ、繰り返しの作業でも精度が保てる。そこが非常に大きなメリットだと思います。品質が安定すればお客様からの信頼にもつながります。
◆導入の決め手◆
CROROROSを使ったオフラインのプログラム、治具の自動生成、アクティブトラッキングへの大きな期待
――さまざまなロボット製品とも比較して、いよいよ2026年1月にスギノマシンのファイバーレーザー溶接ロボットシステムを導入していただきました。この商品を選んだ決め手を教えてください。
長井社長:ファイバーレーザー溶接ロボットシステムは、ロボットシミュレーションソフト「CROROROS」を用いることで、溶接加工を止めずにオフラインで3DCADデータからプログラムが組めます。
加えて、CROROROSの治具の自動生成機能も画期的だと感じました。通常、ロボットを使って溶接するには、ワークを固定するための治具が必要になります。CROROROSを使えば、治具の自動生成機能で、板金を切断加工して、スリット加工部分を組み合わせることで簡易的な組み立て式の治具をつくることができます。
普段、治具のデータを作成するのは、例えば簡単な物でも20分、複雑な物であれば1時間かかることもあります。多品種少量生産だと、それぞれのワークに合わせて治具を作成しなければなりません。作業者にとっては製品の数が増える分、手間も増え、とても面倒な作業です。この自動生成機能は、治具作成にかかわる作業者の負担をなくすことができます。
それにCROROROSで作成する治具は、板を組み合わせただけのものなので、分解してしまえば重ねて平面状態で片づけることができます。立体の治具とは違い、それを収納したり、管理したりするスペースもいりません。


――センシング技術によってリアルタイムで溶接経路を自動補正する新技術「アクティブトラッキング」についてはいかがでしょうか?
長井社長:通常、0.2mmのレーザービームを人間が溶接経路に正確に当てるというのは、なかなか難しい。ましてやスピードを上げるとさらに難しくなります。しかしセンシング機能があることで、正確に合わせ目にレーザービームを当てることができ、正確な溶接をすることができます。
さらに、特筆すべき点は、ロボットが溶接しながら、リアルタイムでその先のワークのエッジを検出し、溶接中の熱による若干の歪み、板金の製品としては問題にならないレベルの歪みまでも追いかけて、正確に溶接してくれるというのは非常に素晴らしいと思います。
◆導入後の手応え・効果◆
ワークを置くだけ! 未経験でも高精度の溶接を実現
――実際に導入してみての感想について、担当の松本さんにうかがいます。
松本さん:私はCROROROSと実際の溶接作業を担当していますが、これまでは3次元CADを長く担当していました。実は溶接の経験はないんです。
――溶接の経験がなかったのですね。そうした立場で今回、ファイバーレーザー溶接ロボットシステムを使ってみて、いかがでしょうか?
松本さん:CROROROSを使って、事前にロボットの経路や動作をシミュレーションしてプログラムを作成するので、実際に加工するまでがすごく楽です。私のような未経験者でも使いやすいです。
アクティブトラッキングは溶接先をかなり正確にトレースしてもらえます。誰でもワークをポンと置くだけで、ボタンを押せば溶接ができるので、現場にとっては画期的です。
ロボット本体を動かしながら、動作を一つずつティーチングする必要もありません。


――改めて、長井社長にも導入効果を伺います。
長井社長:ファイバーレーザーロボットシステムの導入後、当社にとっては割と数の多い月200台の受注がありました。試しに比較してみると、手作業のTIG溶接では1台当たり4分かかるのが、この装置では、1台当たり半分の2分で溶接できました。
また、この装置は製品を並べて、一度に複数個の溶接もできます。一度の段取りで作業が進められ、生産効率も上げられるので、そうしたやり方もぜひ取り入れたいです。
そのお客様からは将来的に月1000台に増やしたいというお話もいただいています。お客様にはこの装置を使って溶接をする許可もいただいているので、今、生産体制をつくることに取り組んでいるところです。


――スギノマシンのサポートはいかがでしょうか?
長井社長:リモートのウェブ会議などで定期的にミーティングを行って、操作のレクチャーを受けています。仮に問題点があったとしても即時解決する体制が整っており、安心して使えるところも非常に魅力です。
◆今後の展望◆
スギノマシンのロボット技術にますます期待
――今後、どのようにファイバーレーザー溶接ロボットシステムを活用していきたいですか?
長井社長:ロボットの良いところは、段取りさえしてしまえば、誰でもワークを置いてボタンを押すだけで、溶接がどんどん進むところです。当社では今、ベトナム出身の従業員15名をはじめ、多様な社員が活躍しています。今後はファイバーレーザー溶接ロボットシステムを活用し、溶接経験や日本語能力に左右されることなく、より多くの社員が安心して溶接作業に携われるようにしたいです。
――今後は、どのようなことに取り組んでいきたいですか?
長井社長:ロボットの活用は、今後ますます必要になっていくと思います。労働人口はどんどん減っていく一方で、技術革新のスピードは目まぐるしく、将来的にはヒューマノイドロボット(汎用二足歩行ロボット)を製造現場に導入する時代もやってくると思います。
そういった最新技術をいち早く取り入れ、お客様の要望に応え続けていきたい。そういう意味で、今回もファイバーレーザー溶接ロボットシステムを導入しました。新しい技術に積極的に挑んでいくということを心がけていきたいと思っています。
――そうした中で、スギノマシンに期待することはどんなことでしょうか?
長井社長:スギノマシンはロボットの技術に長けているので、溶接以外のさまざまな業務をロボット化できるようにしていただきたいです。汚れる作業や、健康被害が起こりそうな作業ではやはりロボットに強みがあると思います。スギノマシンには、そういったところに力を入れて、開発をしていただきたいと思います。