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【ニュースリリース】バイオマスナノファイバー「BiNFi-s」極長繊維 RMaタイプを開発

 

バイオマスナノファイバー「BiNFi-s」極長繊維RMaタイプを開発
既存製品より繊維が長く細い環境配慮型原料CNF​


2022年12月6日

株式会社スギノマシン(富山県滑川市、代表取締役社長:杉野 良暁)は、自然由来のセルロースを原料としたナノファイバー*1(商品名:BiNFi-s、ビンフィス)の開発を進めています。繊維長の異なる5種類のセルロースナノファイバー(CNF)を広く提供していく中で、市場からの要望が大きかった、より繊維長が長く繊維径が細いCNF、BiNFi-s 極長繊維 RMaタイプを新たに開発し、ラインアップに追加しました。本開発品は12月7日より開催される「高機能素材Weekセラミックス ジャパン」*2に出品します。

 

1.BiNFi-s 極長繊維(RMa)とは

<開発背景>

近年、海洋プラスチックや石油資源枯渇などの問題から、SDGsに沿って地球環境の資源を大切に使用し、持続可能社会を目指す取り組みが重要視されています。セルロースは植物などから取れる自然由来の素材で、セルロースをナノサイズに細かく解したCNFは、プラスチックやゴムなどに混ぜた際に強度を向上させながら、樹脂の使用量を減らすことができ、環境負荷の低い商品を造るための素材として、注目されています。

CNFの物性を決定する重要な指標として、繊維長と繊維径が挙げられます。繊維長が長いほど補強性や増粘性が高く、繊維径が細いほど透明性や均質性が高くなります。当社では独自のウォータージェット(WJ)製法*3によりCNFを製造しているため、繊維へのダメージを抑えながら、繊維幅を細くすることが可能です。WJ製法の技術を高めることで製造コストを維持しつつ、従来のCNFよりも繊維長が長く繊維径が細いCNFとしてRMaタイプを開発しました。

図1、2

<特長>

・平均繊維径は9.6nm(SPM*4観測による)

・機械解繊CNFの中では最も細いナノファイバー

・SPMの視野角である5μmを超える長さの繊維が多く観察される。

 

◆ BiNFi-sの商品ラインアップはこちら

 

 

BiNFi-sの繊維長の異なる5種類のCNFとRMaを乾燥フィルム化し、引張強度試験を行った結果を図3に示します。

 

図3.繊維長違いによるBiNFi-sフィルムの引張強度

<特長・効果>

・他の繊維長のCNFと比較して、RMaは従来の長繊維タイプに対して、約1.8倍の高い弾性率。

・RMaの添加により、従来のCNFを超える補強効果が期待できる。

 

2.BiNFi-s RMaを天然ゴムと複合化した応用例

天然ゴム(NR)に5phr*5のRMaを添加し、複合化した材料の引張試験結果を図4に示します。未添加のNRと比較して、わずか5phrのRMa添加で初期ひずみ領域の引張強度が大幅に増加しています。さらに従来品のIMa(既存の極長繊維長タイプ)と比較しても、初期モジュラスの増加が確認できます。また、RMaは従来の添加剤よりも少量でゴム物性に大きな補強効果を与えることが特長です。カーボンブラック(CB)を30phr添加して補強した複合体と比較して、わずか5phrという低濃度のRMa添加で、その応力値はひずみ100%時に約3.6倍、ひずみ300%時に約1.3倍となり、ゴム補強用途への展開が期待されます。​

 

図4. 天然ゴム/CNF複合体の引張強度

3.技術資料(テクニカルレポート)について

テクニカルレポートはスギノマシンのWebサイトからダウンロードいただけます。
◆ 詳細はこちら

 

4.「ナノファイバーなんでも技術相談室」随時受付中です

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5.用語・補足

*1 ナノファイバー

繊維を直径 100 nm以下、長さ 数µmのサイズへ微細化したもの。

 

*2 高機能素材Week

【会期】2022年12月7日(水)~12月9日(金)
【開催地】幕張メッセ
【URL】https://www.material-expo.jp/tokyo/ja-jp.html

 

*3 ウォータージェット(WJ)製法

パルプ化した原料を水に分散させ、最高245MPaに加圧・噴射し、マッハ2のウォータージェット同士を斜向衝突させることで、原料を解し、ナノファイバーを作り出す方法

 

*4 SPM(走査型プローブ顕微鏡)

先端が先鋭化されたプローブを走査して表面構造を観察する顕微鏡の総称

 

*5 phr(part per hundred parts of rubber)

ゴム重量100に対する各種配合剤の配合する重量部のこと​

 


―本件に関するお問い合わせ先―

■株式会社スギノマシン■

経営企画本部 新規開発部 開発プロジェクトグループ

TEL:(076)477-2572